田中くんのこと

きのうは夕方から理工学部川越キャンパス連合育成会の大会、そして合同交流会がありました。

その中で、卒業生特別功労賞という表彰がありました。それは工学部卒業生の中からめざましい活躍や業績を納めたOBを表彰するというものです。

今年は95年に建築学科を卒業したアトリエNの田中伸明君が選ばれました。

アトリエN

田中くんのこと_a0394451_12360902.jpg


彼はボクがT大学に非常勤講師として行き出してから2年目に教えた学生です。
ですから、あえて田中君といわせてもらいます。

きのう、田中君と会ったのは卒業以来ですから14年ぶりでした。

1学年160人余りの学生なので、全員は覚えきれないのですが、田中君は、ボクが在学中、ほんの短い期間在籍していた硬式テニス部の所属だったということもあり、学生の時の田中君のことは、ちゃんとおぼえていました。
ボクの親しい先輩の切り絵師 百鬼丸さんも硬式テニス部だったので百鬼丸つながりでもありました。

田中君の活躍は、だいぶ前、テレビ番組「完成!ドリームハウス」での建物の放映や、最近いろいろな賞を受賞していることなど、M先生を通じて知っていました。

そんな田中君とはホント久しぶり、いろいろと話す機会をもつことができました。

聞くと田中君のいままでの道のりは決して楽ではなかったようです。
と同時に、なんとなく似ているぼくの20代、30代を勝手に思い起こしてしまっていました。

田中君は学生時代、設計よりもテニスに一生懸命になっていて、設計はあまりよい成績ではなかったようです。
研究室は構造系のM研究室の出身ですが、なかなか希望する就職先がみつからなかったとのことでした。
それでも、建築設計をやりたかったので、地元の設計事務所に日雇いもような形で修行にいったそうです。
群馬県の中之条という地方にはアトリエ的な設計事務所などはなかったとのこと。

なんとか1日でも早く独立したかったのでしょう、卒業後、3年目にして1級建築士を取得し、即独立してしまったとのことです。

しかし、独立は簡単ですが、そうそう建築の設計監理の仕事があるわけがありません。
都市部ならまだしも、地方ではまだまだ家は工務店が建てるものなのですから~。
代願(建築確認申請の代行)の仕事の依頼はあったようですが、そのような仕事はすべて断ったそうです。
武士は食わねど高楊枝っていうやつ?!

そのときはもうすでに結婚もしていたので、ちゃんと生活費も稼がなければならない、、、。
そこで夜は塾の講師をひきうけたとのこと。
設計の仕事で妥協して代願をするよりは、他の業種で生活費を稼いだほうが良いとおもったのでしょう。
このあたりの心境はボクもよ~くわかる気がします。

そんな中、塾の生徒の家がリフォームをしたいという話があり、その設計をさせてもらったそうです。
それがTOTOリモデル コンテストで最優秀賞を取ってしまったとの事。

それからは仕事に依頼が増えてきて、コツコツと地元の住宅を設計し、毎年といってよいくらい、彼の設計の住宅がいろいろな賞を受賞しているとのことです。

きょう、そのいくつかの住宅の展示パネルを見せてもらったのですが、なかなかいい住宅ばかりです。

いろいろ、田中君と話してたら、彼の生き方がボクの20代、30代に近い感じがしてなりませんでした。
(ボクの仕事はたいしたことはありませんが、、、。)

田中君はきっと今まで、いろいろと苦労してきたんでしょうね。
それがやっと報われだしている、、、よかったですよね~。

彼のような生き方をしている卒業生がいることをもっともっと学生達、そして卒業生たちに知ってもらえるとよいとおもいました。

これからの田中君の活躍を期待しています!
by hosoya_isao | 2009-06-28 16:54 | Comments(0)