東洋大建築学生のために。

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きょうは午後からT大学白山校舎で恒例の設計製図会議があり、出席してきました。
この会議は、設計製図関連の授業の1年間の報告と次年度へ向けての目標などを討議します。
今年度でT大学を退任するボクにとっては最後の製図会議となりました。
会議に向けて事前にアンケートがあったので、下記のような意見をかかせていただきました。
どのようにしたらT大学の設計製図教育が学生のためになるのか。
どのようにしたら、社会にでたときに設計製図が役立つのか。
どのようにしたら、より設計製図が面白くなるのか。
ボクはそんなことを常に考えていました。


下記がアンケートの回答(意見)です。


設計製図?担当  細谷 功

長年、東洋大学建築学科非常勤講師をつとめさせていただき、最近の設計製図教育に関して感じたことを書かせていただきます。
私は東洋大学建築学科の出身でありますので、OBとしての意見でもあるかもしれません。

まず、大切なことは現在、東洋大学建築学科の卒業生はどのようなところに就職しているか、そして社会は(企業は)どのような人材を東洋大学に求めているかということをしっかり把握することにより、我が東洋大学建築学科がどのような学生を社会に送り出せば良いのかということが明確になってくると思います。
OBとしてあえて言います。東大でも、東工大でも、早稲田でも、ましてやハーバードでもありません。東洋大学です。

私は明らかに中堅建築(設計)技術者なのではないかと思います。
そこで設計製図の役割がはっきりしてくるのではないでしょうか。
まず製図の基本(製図通則など)、基本的設計手法(スケッチ、モジュール、基本的寸法の把握など)を正しく丁寧に教えること、それがまず重要なこと。そしてそれに沿った評価基準も必要でしょう。

設計製図は建築を学ぶうえでの総合演習科目だと考えます。
できるだけ、他の専門科目(構造・設備・法規など)ともリンクしながら進めるのが相応しいのではないでしょうか。
それらを習得したうえで(知ったうえで、設計能力のある学生は仮想建築的設計に挑戦するのはよいとおもいます。

大事なことは設計(手法)の基本をしっかり教えること、課題の評価基準もそれを反映すること。
これは見方によっては、大学は建築専門学校ではない、建築士養成学校ではないという意見もあるとおもいますが、まずは実務に近い建築設計の基本を習得させたうえで、東洋大学建築学科ならではの建築教養や専門知識を得ていくということが学生のためにもなり、大学間競争に勝ち残っていく手立てだと思います。

次に教える側の非常勤講師についてです。
長年非常勤講師をさせていただき言いにくいところですが、非常勤講師の期限は数年と決め、更新時に相互の意志を確認していくことが必要だと思います。
ただ、中山先生のいわれる、定年制というのは非常勤講師に限っていえば相応しくないように思います。
建築設計実務の世界では60歳を過ぎても活躍している方々はたくさんいます。
非常勤講師として求められることは、若ければ良いということではなく、その人が社会(実務)において、現在(この現在が大切です。)どのような活動をしているかということであり、そして非常勤講師はその活動を学生にたいして明確に示す義務もあると思います。
非常勤講師の役割は、学生に対して、社会(実務)からの新鮮な刺激を授業に持ち込むことなのではないでしょうか。

以上、長くなりましたが私の意見です。
ありがとうございました。
by hosoya_isao | 2012-02-18 23:56 | Comments(0)