毎回、気合いを込めて

毎回、気合いを込めて_a0394451_14075304.jpg


きのう、コンクリート打設の立会いををしながら、ボクはいままで何回のコンクリート打ちにたちあったのだろぅ~と思い出したりしていました。

事務所にもどって昔の資料をみていたら、1992年9月号の「住宅建築」が出てきました。
この号はボクの事務所の「鉄とコンクリート」というテーマの特集で、40ページにわたり、我が事務所の設計の建物8作が掲載されています。
そして最後に「気合いを込めて」というタイトルで文章が書かれていました。
そのボクの文章を読んでみたら、まさに昨日言いたかったことが書かれていました。

「コンクリートは一時的な可塑性に富むものの、化学反応によりひとたび硬化してしまうと、石と同様の圧倒的な重量感でその存在を強く主張する。
歴史的には鉄よりも新しい材料であるにもかかわらず、施工に際しては人海戦術による型枠叩きというローテク工法によらざるをえず、どんなに周到な準備をして打設に臨んでも、気合いの入った緊張感がなければ必ずといってよいほど失敗してしまう、まさに荒削りな工法である。
私は、コンクリート打設時には毎回必ず現場に立会い、型枠の中に緻密に流れ込んでいってくれることを、全身の気を込めてひたすら念ずる。
そんな賭けにも通ずる緊張感も、コンクリート打放しの魅力のひとつかもしれない。」

当時から、いやそれよりもずっと以前から、このような姿勢でコンクリート打放しの建物を造り続けています。
やっぱり、コンクリートの建物はコンクリートなりの面白さがあります。
そして、コンクリートの建物はコンクリートだからこうなるという、コンクリートならではの設計をしなくてはコンクリートで造った意味がないのです。

まさに、木造は木造の良さがあり、鉄骨造には鉄骨造の良さがあるのとおなじです。

それぞれの材料の特性を生かして設計することがとても重要なことなのだと思っています。

毎回、気合いを込めて_a0394451_14075596.jpg


上は、特集の巻頭に掲載されている我が事務所設計の建物8作のアイソメ。
美術部出身の当時のスタッフS君が色鉛筆で丁寧にキレイに仕上げてくれた作品です。
我が事務所の宝物でもあります。
by hosoya_isao | 2012-03-22 22:04 | Comments(0)